#bunfree 現実をネ申ゲーにするための3つの方法〜ARGをねとぽよで実際にやってみた〜
パックス・ネトポヨーナ。最近は新御徒町で監禁されて暇で暇でしょうがないねとぽよちゃんです。
『ねとぽよ vol.2』 紹介エントリ第4弾は、ARG特集ですぽよ。ねとぽよ荘に怪しげな武器や防具が集められていたのはこの特集のためだったらしいです。てっきり拷問されるかと思ってgkbrだったぽよ!!!!!!!
ゲームの世界に行けたらいい。むしろ何故この世界はゲームではないのだろう。そう思ったことはないだろうか。僕は物心ついたときからずっと思っていた。この特集はそんな貴方に捧げる特集です。
ARG(Alternate Reality Game、代替現実ゲーム)という言葉を皆さんご存知でしょうか?
ARG(Alternate Reality Game、代替現実ゲーム)は、ひと言でいえば「リアルな社会を舞台に展開されるゲーム」である。アメリカで2001年ごろに生まれ、この10年で着実に流行し始めた。すでに1000万人を超える人間が参加したARGもあるという。日本でも、参加型ゲームや広告手法として注目が集まり始めた。
現実とフィクションの境界を消していく――八重尾昌輝氏に聞くARG(代替現実ゲーム)の今と未来 - はてなブックマークニュース
僕は基本的にはイタい人間で、「ゲームの世界に行けたらいい。むしろ何故この世界はゲームではないのだろうか」と幼少期から思って来ました。ARGの概念を知った時、「それだ!」と夢中になったものです。
また、僕のそんな痛さとは全く関係なく、ARGという概念そのものが現代社会のメタファとして大変に素晴らしいとねとぽよ実質編集長は語ります。ねとぽよ1号完成直後に、そんな風に二人の利害が一致して、この特集は決定しました。
構成は以下のとおりです。
- ARG講義第一部・国外編
- ARG講義第二部・国内編
- ARG作ってみた「Roll-playing for yourself」
まず、ARG講義です。国外編&国内編では、先のニュースでインタビューしてもいる国際ゲーム開発者協会(IDGA)のARG部会世話人であり、日本で最もARGに詳しい1人である八重尾昌輝氏に講義をしていただきました。
その後、この講義を踏まえて、実際にねとぽよでARGを実際に制作しました。そのレポート&反省会です。ARGは、参加型のエンターテイメントです。それをコンテンツとして扱う際に、自分たちでARGを作ることに参加しないのは手落ちであると考え、実際にARGを制作しなければいけないと思ったのです。
■ ARG講義第一部・国外編
ARG発祥の地であるアメリカを主な例とした、国外の事例を紹介するのが、第一講です。上記の記事の中にもある、名作中の名作「Why so Serious?」を始めとする、くらくらするほど規模の大きな事例のオンパレードです。
しかし、そこで明らかになってくる事実は、世界を見渡しても、商業的にも芸術的にも華々しい成功を収めているのは「Why so Serious?」を制作した「42ENTERTAINMENT」一社のみなのではないか、ということでした。( http://42entertainment.com/)
この会社は(ねとぽよ内では萌えキャラと評判の)「REALITY IS BROKEN」のマクゴニガル姉さんが働いていたとか、「THE WORLD IS PLATFORM」なるヤバいキーワードを掲げているとか、創業者は昔ディズニーで働いていて、ディズニーランドを偏在させるためにこの会社を創業したとか、相当にトチ狂っていることだけはよくわかる、様々な萌えどころのある会社です。
■ ARG講義第二部・国内編
では、打って変わって国内はどうなのか……。こちらも、基本的には「リアル脱出ゲーム」を擁するSCRAPが一強という状況でしょう(注:講義でも八重尾氏が述べているように、SCRAP代表の加藤氏自身は「リアル脱出ゲームはARGではない」という立場を取っています)。
八重尾さんの講義を踏まえ、そんなことを考えながら、ねとぽよで取材を続けていくにつれ、現時点でのARGの抱える問題点、特に日本における問題点が浮かび上がって来ました。
具体的には、以下の3点です。
- 謎解きに頼りすぎ
- 欧米と比べて参加型の娯楽に慣れていないのでハードルを下げないと成立しない
- 使用しているモチーフとARGそれ自体の関係性が薄い。つまりテーマがない
■ 「ARG作ってみた」
以上3点の自ら提示した問題意識に応える形で、僕たちは4/8(日)にねとぽよ制作のARGを完全招待制で行ないました。
場所はゲームバー「ナインティ」。ゲームがたくさんある店内にちなんで、「ドラクエ的中世RPG」をモチーフにしました。
詳細は、本誌で製作過程に至るまで全貌を明かしますが、この記事では要点のみをご紹介します。
1.ARGをにおけるミッションを謎ではないものに置き換えた
近々実施されるという「力ずくの脱出ゲーム」などがわかりやすい方向性ですが、謎解きを捨て、ストーリーと関連するギミックでのミッションを参加者に課してみました。
その主だったギミックを紹介します。
<RPGツクール制作のRPG>
RPGのプレイによってストーリーを進行するようにしました。実際に写真取材を敢行して、ナインティを模したマップチップ&RPG部分の制作を@mikouri(「ムスペル」でコンパク銀賞を受賞。最近の「ブラックデス」や「グリムボルト」は個人的におすすめ。詳しくはこちらhttp://muspell.raindrop.jp/) さんに依頼。進んでいくゲームの中のストーリーに、ARG自体のストーリーを連動させました
<コスプレ>
コスチュームプレイですね。参加者のおねーさんにマーニャになってもらったり、魔法使いになってもらったりしました。
<キネクト>
色々とポーズをとって「かっこいいポーズ」の正解を探してもらうというものでした。
<役者>
上でかっこいいポーズを試しにとってもらっているバーテンがそうです。
ストーリーゲームの中から出てきたという設定のバーテンで、NPCのような演技をしてもらうことで没入効果を高めました。
<プロジェクターで現実でゲーム戦闘>
先日六本木ヒルズで開かれたドラクエ展に行った方は「りゅうおう」とのバトルの再現を体験したと思いますが、あれの民生版、という感じでしょうか。
2.妄想力が高くなくても入り込めるように、音響を始めとする演出に凝ってハードルを下げた
現在のARGが抱える最も大きな問題は、リアルにゲームをするという「イタい」行為に耐えられる人間しか、ゲームに参加してくれないことです。
そこで、小規模ではありますがスペクタクルの要素を加えて、妄想力の低い普通の人でもゲームに参加できるように工夫をしました。
魔法を唱えると、剣を振ると、扉を開けると、それに合わせて記憶にある効果音が鳴る。ある種の原始的なARと言えるかもしれません。また、コスチュームを用意するなどして、装いからRPGの世界に入ってもらうというのもこの一環です。
3.「テーマのあるARG」を作ることにした
「日本的RPG」の「勇者」をダシにして「役割」とは何か、それを(演劇に限らず社会的にも)「引き受ける」とはどういうことか、ということをテーマに選択しました。
Amazon.co.jp: 人間・この劇的なるもの (新潮文庫): 福田 恆存: 本
これは、愛読する福田恆存「人間・この劇的なる者」から大きな影響を受けたものです。このARGを通して、僕は僕なりの福田恆存の現代的解釈を表明したつもりです。
以上、冒頭で語った通り、見事にイタいヤツぶりが最後に現れていた象徴編集長・斉藤大地の担当部分紹介でした。
それでは、このARGを通して見事に「勇者」を引き受けてくれた@umamanが、劇中「かっこいいポーズ」をとった時の写真とともにお別れするぽよ!
そんじゃーね!